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鳥のみじいさん

たまには子どもと添い寝をしながら、こんなお話を聞かせてあげましょう。 [おもしろ民話集 87]

むかし、あるところに、やさしいおじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは働き者で、きょうも朝早くからくわをかついで、山の畑をたがやしておりました。すると、一羽の小鳥がやってきて、くわの柄にとまって、「あやチュウチュウ、こやチュウチュウ、にしきサラサラ、ごようの宝、もってまいろか、パラリンピー」と、鳴きだしました。

「あんれまぁ、なんとおもしろい鳴きかたをする鳥じゃろう。どれ、おらの手にとまって、鳴いてみろ」というと、おじいさんの指にとまって、「あやチュウチュウ、こやチュウチュウ、にしきサラサラ、ごようの宝、もってまいろか、パラリンピー」。とっても、かわいらしい声で鳴きました。

おじいさんは、すっかり面白くなって、「こんどは、おらのベロにとまって鳴いてみろ」といって舌を出すと、鳥は、いわれた通りおじいさんの舌にとまって、「あやチュウチュウ、こやチュウチュウ……」と歌いだしました。「うん、うめぇ、うめぇ」といったら、舌がひっこんで、鳥を飲みこんでしまいました。

「おやおや、こりゃ、すまねぇことしちまったな」と、あわてて鳥をはきだそうとしましたが、うまくいきません。おじいさんはがっかりして家に帰り「ばあさんや、こんなわけで鳥をのみこんでしもうた。いい声だったのになぁ」「そりゃ、おしいことをしましたね。あたしも、その声がききたかったなぁ」

そのうち、おなかがモゾモゾするのでさわってみると、なんと、おへそに鳥の羽がチョコンと出ています。その羽をひっぱってみると「あやチュウチュウ、こやチュウチュウ……」と鳴きだしたではありませんか。おばあさんは、もう、ころげまわって大喜びです。「こりゃ、長者どんに知らせなくちゃ」と、二人は長者の家をたずね、鳥の鳴き声を聞かせると、長者は喜んで、宝物をたくさんくれました。このうわさを聞いて、村の人がつぎからつぎヘと聞きにきて、おじいさんの家は大にぎわい。

やがて、このことが殿さまの耳にも入りました。おじいさんはお城に呼ばれました。「おなかの中で鳥が歌うとは、そのほうか」「はい、お殿さま」「そいつは珍しい。わしにも、ひとつ聞かせておくれ」「はい、かしこまりました」ということになり、おじいさんがおへそから出ている羽をひっぱると、鳥は、とびきりかわいい声で歌い出しました。「あやチュウチュウ、こやチュウチュウ、にしきサラサラ、ごようの宝、もってまいろか、パラリンピー」

「おう、こりゃ日本一の歌うたいじゃ」とごほうびに、おじいさんがやっと背おえるつづらをくれました。家に帰って、おばあさんといっしょに中を広げると、金、銀、サンゴ、アヤニシキ……、宝ものがたくさんつまっていました。こうして、鳥のおかげで、おじいさんとおばあさんは、大金持ちになりました。


「6月6日にあった主なできごと」

1281年 弘安の役…モンゴル(中国・元)の皇帝フビライの軍は、文永の役から7年後のこの日、再び大軍を率いて北九州の志賀島に上陸しました。苦戦していた日本軍でしたが、折からの暴風雨により元軍は総崩れとなって7月初めに退散しました。日本を救ったこの暴風雨は「神風」といわれますが、鎌倉幕府は手柄のあった者に恩賞を与えることができず、衰退を速めることになりました。

1599年 ベラスケス誕生…スペイン絵画の黄金時代を築いた17世紀を代表する巨匠ベラスケスが生まれました。

1944年 ノルマンディ上陸作戦…第2次世界大戦中、ドイツが占領していた北フランスの海岸ノルマンディに、17万6千人の連合国軍が上陸に成功、これがきっかけになってフランス各地のドイツ軍を打ち破り、8月25日にパリ解放に成功しました。

投稿日:2013年06月06日(木) 05:41

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)