児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ Top >  おもしろ民話集 >  ライオンを退治した子ぎつね

ライオンを退治した子ぎつね

たまには子どもと添い寝をしながら、こんなお話を聞かせてあげましょう。 [おもしろ民話集 26]

ある森に、たくさんの動物がすんでいました。大きいのも、小さいのも、強いのも、弱いのもいましたが、仲よく平和に暮らしていました。

あるとき、その森に一頭のライオンがやってきました。ライオンは、手あたりしだい動物をつかまえて、食べてしまうのです。動物たちはこまってしまって、いろいろ相談した上で、ライオンのところへ行ってこういいました。

「ライオンさま、いかがでしょう。私どもは、毎日クジを引いて、クジに当たった者が、あなたさまのお食事になるということにしてもらえませんでしょうか。そのかわり、他の者は自由に森の中をかけまわらせていただきたいのです」

ライオンは、ちょっと考えてから、この提案を了承しました。それから毎日、太陽が真上にくるころに、森の動物たちは集まってクジを引き、クジに当たった者が、ライオンのところへ連れていかれました。

ある日のこと、小さな子ぎつねがクジに当たりました。ライオンのいるしげみやってきて、子ぎつねはいいました。

「ライオンさま、大変なことがおこりましたので、お知らせにまいりました」 「何ごとだ、早くいえ!」

「今日、あなたさまのお食事のクジに、私の弟が当たったのです。さっそく、連れてこようと思いましたら、とちゅうで他のライオンが飛び出してきて、あなたさまの食事をさらっていってしまいました。それで、あなたさまに助けていただこうと、こうしてかけつけてまいったのです」 「何だと? わしより強いライオンがいるというのか」

「とんでもございません。あなたさまの方が強いにきまっています。でも、そのライオンは、あなたさまなんか、3つかぞえるうちにやっつけてやると申していまして……。ライオンさま、よろしかったら、そのライオンのかくれ家へご案内いたします」

子ぎつねはこういうと、ライオンを森の奥へどんどん誘います。やがて子ぎつねは、森の井戸のそばで立ちどまり、ライオンに教えました。「ほら、ごらんください。あそこです」

ライオンは井戸に近づき、中をのぞきこみました。水の底のほうで、大きなライオンがキバをむいています。
「こいつめ、見ておれ!」 と、叫ぶなり、ライオンは深い井戸に飛びこんで、おぼれ死んでしまいました。

それからは、また、森に平和がもどったということです。

投稿日:2007年12月19日(水) 09:09

 <  前の記事 どんなときも 「君ならできる」 と語りかける  |  トップページ  |  次の記事 地震とナマズの関係  > 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://mt.izumishobo.co.jp/mt-tb.cgi/1150

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

         

2014年08月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

月別アーカイブ

 

Mobile

児童英語・図書出版社 社長のこだわりプログmobile ver. http://mt.izumishobo.co.jp/plugins/Mobile/mtm.cgi?b=6

プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)