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誰が一番尊い ?

たまには子どもと添い寝をしながら、こんなお話を聞かせてあげましょう。 [おもしろ民話集 22]

むかしある国に王様がいました。王様には3人の王子がいました。となりの国に女王がいました。女王には、一人の美しい王女がいました。
3人の王子は、3人とも王女をお嫁さんにしたいと思っていたので、王様のところへ行き、「ボクたちの中で、誰が王女をお嫁さんにもらってよいかを、決めてください」といいました。

王様は、しばらく考えて、こう答えました。「これから3人とも旅に出て、世界で一番尊いと思うものを探してきなさい。一番すばらしいものを持ってきた者が、王女をもらうということにしよう」

3人の王子は、すぐに出発しました。1番上の王子は、大きな町に着きました。王子は町じゅうを見てまわり、やがて「空とぶじゅうたん」を見つけ、これが一番尊いと思って買い求めました。

2番目の王子は、ある村へ着きました。ひとりの男が長い望遠鏡を売っていました。のぞいてみると、空とぶじゅうたんをかかえて歩いている、1番上の王子が見えました。王子はこれは一番尊いと、この望遠鏡を買い求めました。

3番目の王子は、ある国の市場へ着きました。一人のおじいさんがりんごを売っていました。「病気が治る、ふしぎなりんごだよ。病人の顔を、このりんごでこすると、その香りで病気が治る」と言うのです。その言葉を聞くが早いか、王子はお金を払っていました。

さて、2番目の王子は、望遠鏡でみつけた長兄に追いつきました。そして、長兄の空とぶじゅうたんに乗せてもらい、末の弟を見つけました。今度は、3人とも「空とぶじゅうたん」に乗って城をめざしました。王女はどうしているかと望遠鏡で見ると、何と王女は重い病気にかかっているではありませんか。

3人はすぐに王女に近づき、王女のほほをりんごでこすると、たちまち病気は治ってしまいました。王子たちは王様のところへ行って、それぞれの一番尊いおみやげを見せ、力を合わせて王女の病気を治したことを話しました。

王様はじっと考えた末にこういいました。「息子たちよ、ワシには望遠鏡が一番尊いような気がするが、王女の考えを聞いてみることにしよう」といいましたので、すぐに、みんなで王女のところへ行きました。

「私には、みんな尊いと思います。でも、病気の人を助けてやろうという、3番目の王子様のお気持ちが一番尊いと思います。それに、私は前から3番目の王子様が好きでした」と、ほほを赤らめました。

もう、王女をお嫁さんにした王子は、どの王子だったかわかりましたね。

投稿日:2007年11月20日(火) 09:05

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)