● 子どもの頃から働きながら学び、見知らぬ土地への夢を育てる
リビングストンの父はお茶売りの商人でしたが、キリスト教を深く信仰する、心の正直な人でした。そして母も、自分のことより人のことばかり心配する、心のやさしい人でした。
少年時代のリビングストンは、この父母の愛につつまれて、あたたかく育ちました。ただ、約束を守ることだけはきびしくしつけられ、約束をやぶって父にむちで打たれたこともありました。
10歳になると、織物工場ではたらくようになりました。そのうえ、朝6時から夜8時までの仕事が終わると、それから2時間、夜学へかよって勉強をつづけました。父の収入だけでは、学校へも行けなかったからです。
母は、こんなわが子がかわいそうでなりませんでした。けれどもリビングストンは、けっしてぐちをこぼすようなことはなく、はたらいて手にした給料のなかからラテン語の本を買って、仕事のあいまにも織物機械の上にひろげて読みつづけました。そしてしだいに、「人びとの幸福のためにつくしたい。そのためには、心で思っているだけではだめだ。どんなことでも行動にうつさなければ」 と考えるようになり、海のむこうの見知らぬ土地へ渡ることを夢見て、科学や宗教の本のほかに旅行の本も多く読みました。こうして、子どものときからの夢をひろげていったリビングストンは、やがてアフリカへ渡り、黒人たちのために力をつくしましたが、これも、幼いときに父母から教えられた正しい清らかな生き方を、守りとおしたからこそ果たせたのでしょう。
リビングストン(1813〜1873)──少年時代からの夢を育ててアフリカへ渡り、黒人たちのために生涯をささげたイギリスの宣教師。
詳しくは、いずみ書房のホームページにあるオンラインブック「せかい伝記図書館」をご覧ください。近日中にアップする予定ですので、ご期待ください。