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「ゴーリキー」 のこども時代

● 11歳で、たった一人世の中にほうりだされる

ゴーリキーの書いた、もっとも有名な作品は『どん底』ですが、少年時代のゴーリキーの生活は、ほんとうに、どん底でした。
ゴーリキーが4歳のときに家具職人だった父が亡くなると、母の実家へひきとられ、それから7年間、まるで動物のようにあつかわれて、毎日なぐられる暗い日がつづきました。そして11歳のときに母が亡くなると、小学校もわずか1年でやめさせられ、たった一人、世の中へほうりだされてしまいました。
寝るところもお金もなく、友だちもいない。どんなに泣いても、だれ一人、助けてはくれない。こんななかで、ゴーリキーははたらきはじめました。小さなくつ屋の小僧、製図工の見習い、船の皿洗い、塑像販売店の小僧、しばいの下っぱ役者、パン焼き職人……など、大人にどなられ、こづきまわされながら、毎日たおれるまではたらきました。主人に松の枝でなぐられて、背中が枕のようにはれあがり、病院で、からだから42個の木切れを抜きとってもらったこともありました。また、古いピストルを買ってきて、ほんとうに胸にあてて発射したこともありました。さいわい弾は心臓をはずれて一命をとりとめましたが、とにかく、なんのために自分は生きているのかわからないほど、苦しかったのです。
ところが、こんなゴーリキーを救ったものが、たった1つだけありました。本です。かくれるようにして本を読みつづけるうちに、「自分はけっしてひとりぼっちではない」 と信じるようになり、やがて、貧しい人びとを見つめる作家へと成長していきました。

ゴーリキー(1868〜1936)──11歳で両親を失い世の中へほうりだされ、貧しい人びとのことを考えつづけたロシアの作家。

詳しくは、いずみ書房のホームページにあるオンラインブック「せかい伝記図書館」をご覧ください。なお、「せかい伝記図書館」では、世界と日本の歴史に名を残した最重要人物100名の「伝記」、重要人物300名の「小伝」をすべて公開する計画です。「伝記」終了後、ひきつづきゴーリキーを含む「小伝」に移りますので、ご期待ください。

投稿日:2006年12月01日(金) 09:15

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)