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「チェーホフ」 のこども時代

● 父の言いつけをこばめば、いつもムチで打たれた

4大戯曲 「かもめ」 「ワーニャ伯父さん」 「三人姉妹」 「桜の園」 を書いたチェーホフは、ほんとうは生まれつき明るい性格でした。
ところが、少年時代、その明るい性格を、いつも押し殺していなければなりませんでした。食料雑貨店を営んでいた父は、父親としての権力ばかりふりまわし、6人の子どもたちに、ようしゃなく、むちをくらわせたからです。
少しでもいたずらすれば、むち。店の番をいやがれば、むち。教会の聖歌隊で歌うことを言いつけられ、これを拒むとまたむち。とにかく、父の言いつけにそむけば、たちまち、むちで打たれたのです。
小学校へあがった時、仲よしになった友だちに1番に聞いたのは 「家でよくぶたれる?」 ということでした。そして 「ぶたれないよ」 という返事が返ってくると、どうしても信じられませんでした。
のちに 「私の少年時代に、少年時代はなかった」 と語っています。のびのびした少年時代など、一つもなかったのでしょう。
しかし、チェーホフは、母や妹たちのことを思って、じっと耐え続けました。そして、やがて中学に入った時に父が破産すると、1人で自活しながら家庭教師などで稼ぎ、それを母と妹のもとへ送りました。父にむち打たれたことで、かえって、人のことを思いやるやさしい心と強く生きる心を、自分で育てたのです。
作家になってからは小説や戯曲を書くだけでなく、罪人や病気に苦しむ人びとのために働くなどして、社会のために尽くしました。

チェーホフ(1860〜1904)──父親のムチに耐えて心やさしく生きたロシアの作家。

詳しくは、いずみ書房のホームページにあるオンラインブック「せかい伝記図書館」をご覧ください。なお、「せかい伝記図書館」では、世界と日本の歴史に名を残した最重要人物100名の「伝記」、重要人物300名の「小伝」をすべて公開する計画です。「伝記」終了後、ひきつづきチェーホフを含む「小伝」に移りますので、ご期待ください。

投稿日:2006年11月16日(木) 09:34

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)