● 広大な修道院で母とくらしながら、深いものを見つめる心を育てる
たったひときれのパンを盗んだばかりに19年も牢獄に入れられ、激しく社会を憎みつづけたジャンバルジャンが、出獄後、1人の神父に出会ってから社会への愛に生きることを誓い、悪人はどこまでいっても悪人だという社会の考えに打ち勝っていく──このジャンバルジャンの物語 「レ・ミゼラブル」 を書いたビクトル・ユゴーは、1802年にフランス東部のブザンソンに生まれました。
父はナポレオン軍の将軍でしたが、ビクトル少年は、家庭的には恵まれませんでした。父は熱烈な共和主義者なのに母は全く反対の王党びいきで、両親の仲がいつも悪かったからです。
7歳の時から数年、父と別居した母と広大な修道院の1室でくらし、ここで自然の美しさにひたりながら、子どもなりに神のことを考えつづけました。深いものを見つめる心を育てていったのです。
12歳で寄宿学校へ入りました。ところが、またたくまに天才詩人とさわがれるようになりました。すでに 「自分は詩人になるのだ」 とはっきり心に決めて詩を作るうちに、有名な詩のコンクールで1等賞をとり、人びとをあっと言わせたのです。
19歳の時に母を失し、ビクトルは大きな悲しみにくれました。しかし、その後、そう明で独立心の強かった母の教えを胸に秘めて愛国の詩人として強く生き、40歳の時に『レ・ミゼラブル』を発表して作家としても、その名を世界に高めていきました。
ユゴー(1802〜1885)──少年時代から生きる道を定め「レ・ミゼラブル」を書き残したフランスの詩人・作家。
詳しくは、いずみ書房のホームページにあるオンラインブック「せかい伝記図書館」をご覧ください。なお、「せかい伝記図書館」では、世界と日本の歴史に名を残した最重要人物100名の「伝記」、重要人物300名の「小伝」をすべて公開する計画です。「伝記」終了後、ひきつづきユゴーを含む「小伝」に移りますので、ご期待ください。