● 人におしつけられるのをきらい、学校の規則も守れず退学
幼いころのゴッホは、無口で、がんこで、ときどきかんしゃくを爆発させる困った少年でした。
弟とも、妹とも、あそびません。ゴッホがいつも、ひとりで時間をすごしたのは、太陽の光があふれる野山でした。美しい静かな自然のなかにいるときだけは、心がすなおになれたのです。
やがて、村の小学校へあがっても、人からおしつけられるのがきらいでしたから、あらそいばかりおこして、友だちができません。そのうえ、学校の規則も守らないので、みんなから 「やばん人だ」 とバカにされ、すぐ退学してしまいました。
「この子の将来は、いったいどうなるのだろう」
キリスト教の貧しい牧師だった父は、困ってしまいました。母も悲しみました。しかし、たったひとり、いつも草や木や空や太陽と話をしているゴッホを 「ほんとうは、心の強いやさしい人なんだ」 と、信じているものがいました。4歳下の弟のテオです。
ゴッホには、テオのやさしさが、よくわかりました。だから、画家としてひとりで生きるようになってからも、テオにだけは、いつも手紙を書きました。そして、自分の胸をピストルで撃って37歳の生涯をとじるときは、テオの手をにぎりしめて息をひきとり、兄ゴッホが死ぬと、それから半年ののちに、テオも、そのあとを追うようにして亡くなってしまいました。
ゴッホ(1853〜1890)──貧しさと孤独にたえながら、まるで炎のように自分に情熱をもやして生きたオランダの画家。
詳しくは、いずみ書房のホームページにあるオンラインブック「せかい伝記図書館」をご覧ください。
http://www.izumishobo.co.jp/onlinebook/c02_denki/gogh/index.html