● 人に借りた本を雨にぬらし、おわびに3日間働いた
アメリカの開拓者の子として生まれたリンカ一ンが、少年時代に学校で勉強できたのは、わずか2、3年でした。父は 「開拓者のむすこは学校へなど行くことはない。はたらくことさえ知っていればいいのだ」 という考えでしたし、さらに、家が貧しいうえに、9歳のときに母を病気で失ったりしたからです。しかし、その2、3年で文字を覚えたリンカーンは、学校へ行けないかわりに、本で勉強をしました。本を読むと、自分の考えがどんどんひろがっていくのが、楽しくてしかたがありません。でも、本を買うお金はありませんから、本を持っている人から借りて読みました。
あるとき、近所のおじさんから、ワシントンの伝記を借りてきました。ところが、夜、寝ているあいだに、雨もりで、その本をぬらしてしまいました。リンカーンは泣きたくなりました。しかしおじさんのところへとんでいくと、しょうじきにあやまって、おわびに3日間、おじさんの家で、はたらかせてもらいました。すると、3日めに、うれしいことが待っていました。リンカーンのしょうじきに感心したおじさんが、そのワシントンの伝記をプレゼントしてくれたのです。自分の本を持ったのは、これがはじめてです。リンカーンは、このときのことを、生涯、忘れませんでした。
リンカーン(1809-1865)──黒人どれい解放に力をつくし「人民の人民による人民のための政治」を叫んだアメリカ16代大統領。
詳しくは、いずみ書房のホームページにあるオンラインブック「せかい伝記図書館」をご覧ください。近日中にアップする予定ですので、ご期待ください。