● 「のろまさん」と笑われても、自分の頭でゆっくり考えた
アインシュタインが5歳になったときのこと。ある日、父から、ふしぎなものをもらいました。東・西・南・北を書いた文字盤に1本の針がついていて、針の向きは、文字盤をどんなに回しても変わりません。家に入って戸をしめきっても同じです。父に 「この地球には目に見えない磁力というものがあって、その磁力が針をひっぱっているのだよ」 と教えられると、なにもないと思っていた空間に、なにかがあるなんて、ますます不思議です。アインシュタイン少年は、はじめて磁石を手にした、このころから、大自然の世界や科学の世界に、心をひかれるようになっていきました.
しかし、小学校へあがっても、学校の授業は、あまりすきになれませんでした。そのころのドイツの小学校は、先生の命令はきびしく、先生の教えることだけを覚えさせられる、まるで軍隊のようなところでしたが、アインシュタイン少年は、暗記して覚えさせられる授業よりも、自分の頭で、ゆっくり考えながら学んでいく勉強のほうが、すきだったからです。なにか話をするときも、ゆっくり考えてから話しだすくせがあって、友だちには 「のろまさん」 と笑われました。でも、この自分の頭でゆっくり考えるくせが、アインシュタインを大物理学者に育てていったのです。
アインシュタイン(1879〜1955)──相対性理論によって新しい科学を開き、核戦争に反対をとなえた20世紀最大の物理学者。
詳しくは、いずみ書房のホームページにあるオンラインブック「せかい伝記図書館」をご覧ください。
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