● わんぱくでいたずら、でも悪いと思えばすぐ反省
牧師の子として生まれた少年時代のシュバイツァーは、ほかの男の子と同じように、わんぱくでした。両親に、わがままを言うこともありました。いたずらをして母を困らせたこともありました。でも、そんなことをしても、ほかの子と少しだけちがうところがありました。自分のしたことが悪かったとわかれば、すぐ、反省したことです。
小学生のときのことです。ある日、ロバに荷車を引かせたみすぼらしいユダヤ人の商人が、村へやってきました。すると、村のわんぱく少年たちは、商人のうしろからついて歩いて、商人の服がきたないのや、ロバの姿がみにくいのを、からかいました。商人が石につまずいてよろけると、いっせいに笑いました。それだけではありません。何人かの少年は、小石を投げつけました。
ところが、商人は、笑われても、バカにされても、石を投げつけられても、ちっとも怒りません。怒るどこうか、顔にやさしい微笑みさえうかべて、だまっています。そして、やさしい目で、みんなを見つめています。
シュバイツァー少年は、これを見て、はっとしました。人に笑われても少しも怒らない神のような商人の姿に、自分が、はずかしくなってしまったのです。シュバイツァーは、こうして、いつも反省することを忘れないで、正しいことを学んでいきました。
シュバイツァー(1875〜1965)──アフリカで病気に苦しむ黒人たちのために生涯をささげ、人類の平和をとなえつづけた博士。
詳しくは、いずみ書房ホームページにあるオンラインブック「せかい伝記図書館」を参照ください。まもなくアップする予定ですので、ご期待ください。