● 空想ばかりして人に笑われ、学校はいつも長続きしなかった
アンデルセンは、6歳で、貧しい家の子どもだけが通う学校へ入りました。でも、すぐ、やめてしまいました。そして、その後2回かわった学校も、やはり、長続きしませんでした。
勉強がきらいだったのではありません。いろいろなことを、ひとりで空想するのが好きで、女の子に 「ぼくが大きくなったら、ぼくのお城の、乳しぼりにしてあげるよ」 などと言っては、みんなに笑われ、学校へ行くのが、いやになってしまったのです。
くつ屋だった父は、アンデルセンが11歳のときに亡くなり、家は、ますます貧しくなりましたが、その父が 「自分の気のすすまない道へすすんではいけない。自分のなりたいと思うものになることが、たいせつだよ」 と言いのこしてくれたのが、しあわせでした。
アンデルセンは、父を失ったあと、りっぱな芸術家になる夢を、いっそう強くもちつづけ、本を読んだり、人形劇をしたり、歌をうたったりして、すごしました。本で、いちばん好きだったのは、シェイクスピアの 「ハムレット」 や「リア王」 です。10歳をすぎたばかりの少年に、こんなむずかしい劇の本のほんとうの内容はわかりません。しかし、物語にでてくる魔法使いや、ゆうれいが、おもしろく、やがて、自分でも、王さまや魔女の物語を書いては、人に読んで聞かせました。ただ、母には心配ばかりかけつづけ、20歳をすぎて母が亡くなったときは、親不幸をわびて、いく日も泣きました。
アンデルセン(1805〜1875)──幼いころから魔法使いなどの物語を書いて芸術家への夢を追いつづけた童話の王さま。
詳しくは、いずみ書房のホームページにあるオンラインブック「せかい伝記図書館」をご覧ください。
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