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「徳川吉宗」 のこども時代

● 刀のつばを箱ごともらい、家来に分けてあげる

紀州 (和歌山) 藩の第2代目の藩主徳川光貞の4男として生まれた吉宗は、生まれつき、性格が、おおらかでした。
ある日のこと、父が、刀のつばのたくさん入った箱を取りだしてきて、子どもたちに、つばを与えるから、どれでもすきなものを取るように言いました。刀のつばは、武士にとって、たいせつなものです。兄たちはよろこんで、自分のすきなものを、ひとつずつ選んで取りました。
しかし、吉宗だけは取ろうとしません。静かにすわったままです。そこで、ふしぎに思ったった父が 「そちは、どうしたのじゃ。つばなど、ほしくないのか」 と、たずねました。すると、吉宗は答えました。
「わたしは、兄上たちが取られた残りのつばを、箱ごと、いただこうと思っております」
兄たちは、びっくりしました。でも、これを聞いた父は、吉宗の腹の大きさにすっかり感心して、ほんとうに箱ごと与えてしまいました。ところが、父が感心したのは、これだけではありませんでした。箱をかかえて自分の部屋へもどった吉宗は、箱の中のつばを、ひとつ残らず、家来たちにやってしまったというのです。
13歳で越前国 (福井県) の藩主になった吉宗は、やがて31歳で将軍となり、人びとの心のよくわかる将軍と、たたえられるようになりました。

徳川吉宗(1684〜1751)──倹約をすすめ町人たちの訴えを聞き「享保の改革」を行なって江戸幕府をたてなおした第8代将軍。
詳しくは、いずみ書房のホームページにあるオンラインブック「せかい伝記図書館」をご覧ください。
http://www.izumishobo.co.jp/onlinebook/c02_denki/yoshimune/index.html

投稿日:2006年09月01日(金) 09:57

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)