● イチジクを全部食べたいたずらっ子
貴族の家で、13人きょうだいの2番目の子として生まれたナポレオンは、いたずらっこのうえに、たいへんがんこな少年でしたが、あるとき、家の畑のイチジクの木にのぼって、おいしそうな実を、ひとつのこらず食べてしまいました。そして、これが見つかって、きびしくしかられました。
さて、それからしばらくして、おじさんが家へやってきたときのこと。おじさんが、おみやげに持ってきたくだものが、いつのまにか、なくなってしまいました。すると。イチジク事件のあとでしたから、ナポレオンが犯人にされて 「白状して、あやまれ」 と問いつめられ、「ぼくじゃないから、あやまらない」 といいはると、3日のあいだ、食事を、ほんのすこししか与えられませんでした。ところが犯人は妹たちだったのですが、妹たちが白状したとき、親に 「くだものを食べたのは妹たちだということを、知っていたんだろう。だったら、なぜ、早くそういわなかったのか」 といわれると、ナポレオンは 「そうかもしれないと思っても、妹たちだという確信がなかったから、いわなかったのだ」 と、答えたということです。
このように、がんこで正義感のつよかったナポレオン少年は、10歳になると軍人になるために幼年学校へ進みました。そして、算数はいつも1番の成績をおさめるほどの勉強のかたわら 「プルターク英雄伝」 などの歴史の本を読んで、夢をふくらませていきました。
ナポレオン(1769〜1821)──努力と情熱によって35歳で皇帝になり、世界征服の夢を追い続けたフランスの英雄。
詳しくは、いずみ書房のホームページにあるオンラインブック「せかい伝記図書館」をご覧ください。
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