● からだは小さくても、すばしっこい知恵者
顔はやせて、目ばかりぎょろぎょろしていた少年時代の秀吉は、みんなから、小ざる、小ざると呼ばれました。[小ざる] は農民の子でしたが、いくさごっこは好きでした。体は小さくともすばしこく、いくさごっこで負けたことはありませんでした。
[小ざる] が8歳になったころ父が死に、やがて母は、新しい男と結婚しました。ところがこの2人目の父は、はじめはやさしかったのに、弟や妹が生まれると、母や [小ざる] につらくあたるようになりました。
「これではおっかあが、かわいそうだ。おいらは、うちをでて、じぶんでかせごう」
[小ざる] は、おっかあがたいせつにしまっていたお金をもらって、旅にでました。でも、お金をもっているのは心配です。いつ、わるものにとられてしまうか、わかりません。
「そうだ、このお金を、どこでも売れるものにかえておこう」
[小ざる] は全部のお金で針を買いました。着物をぬう針はどこの家でもよろこばれるのを知っていたからです。お金のかわりに針の箱を背負った [小ざる] は、おなかがすくと針をわたして、かわりにごはんを食べさせてもらいながら、旅をつづけました。そしてある日、橋の上で1人の武士に出会って家来となり、それからは大きな夢をえがいて、太閤秀吉への道をまっしぐらに進んでいきました。
豊臣秀吉(1536〜1598)──いくさごっこが好きだった[小ざる]。母を助けるために家を出て針を売り、知恵と勇気で太閤に。
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