● 姉からお話をしてもらううち、一人で本を楽しむようになる
キュリー夫人 (27歳でピエール・キュリーと結婚) は、子どものころの名をマーニャといいました。
理科の教師を父に、5人きょうだいの末っ子として生まれたマーニャは、小さいときから、兄や姉たちのあたたかい愛情につつまれて成長しました。なかでも、なによりも好きだったのは、いちばん上の姉のソーシャから、お話をしてもらうこと。感受性が強く記憶力にすぐれていたマーニャは、お話に夢中になるうちに、空想の世界の楽しさを知り、言葉や文字を覚え、5歳のころには、もう、ひとりで本を読むようになりました。
ところが、2歳上の姉のブローニャといっしょに本を読んでは、あとで、泣きだしてしまうことがありました。妹のマーニャのほうが本を早く読んでしまうのを見て、ブローニャがくやしがり、マーニャは、そのブローニャを見ると、なにか自分が悪いことをしたように、泣いてあやまったのです。未来の女性科学者マーニャは、そんな、心のやさしい子どもでした。
やさしいといえば、マーニャは、だれよりも母を慕い、母のそばにちょこんとすわっているのが大好きでした。でも、1つだけ不満がありました。なぜか、母が1度も接吻してくれなかったことです。これは、母はマーニャを産んだのちに結核におかされ、この病気の伝染を恐れてのことでしたが、マーニャにはそれが理解できなかったのです。この母は、まもなく天国へ行ってしまいました。
キュリー夫人(1867〜1934)──子どものころ姉のお話を聞くのが好きだった、ノーベル賞受賞の女性科学者。
詳しくは、いずみ書房のホームページにあるオンラインブック「せかい伝記図書館」をご覧ください。
http://www.izumishobo.co.jp/onlinebook/c02_denki/curie/index.html