● ほしくてたまらない鳥類の本を手にいれるために2か月も働く
父が仕事に失敗して、シートンは5歳のとき、家族といっしょにイギリスから大西洋をこえて、カナダへやってきました。そして、森で、開拓者の生活をはじめました。でも、森をきりひらく仕事は、父と母にはきびしすぎて、わずか4年で、家族はトロント市へ引っ越しました。
ところが、まいにち、友だちとけんかをするわんぱくなシートンには、たくさんのいろいろな動物といっしょでたのしかった、森の生活がわすれられません。シートンは、動物のはくせいや毛皮をかざった店へ行っては、鼻を窓ガラスにくっつけて、森の動物たちのことを思いつづけました。
あるとき、その店で 「カナダの鳥類」 という本を見つけたシートンは、その本がほしくてほしくてたまりません。そこで、かわいがっていたウサギを売ったり、2か月もはたらいて、お金をためて、その本を手にいれました。やっと、本をむねにだいたときの、うれしかったこと。野生動物のことを考えれば考えるほど、森の生活にあこがれるようになったシートンは、14歳のとき、トロント市の北の原始林へでかけて行って、自分だけの、ひみつの小屋をつくりはじめました。自分ひとりで、あなを掘って、石をはこんで、丸太をつむのです。こうして、1年もかかって、ひみつの小屋ができたときのよろこび、この小屋で、森の動物たちとくらす夢をふくらませました。
シートン(1850〜1946)──美しい大自然と野生動物たちを友だちにして、すばらしい動物物語を残した作家。
詳しくは、いずみ書房のホームページにあるオンラインブック「せかい伝記図書館」をご覧ください。
http://www.izumishobo.co.jp/onlinebook/c02_denki/seton/index.html