● 家の貧しさにも両親を失った悲しみにも負けず、勉強をかさね続ける
柴を背負い、歩きながら本を読んでいる少年──二宮金次郎といえば、むかし、多くの小学校に建てられていた銅像が思いだされます。あの銅像は、戦時下において国家主義に利用されたということで、日本の敗戦後、すべて取りはらわれてしまいました。
しかし、金次郎がそのようにまでして学問をつづけたというのは実話です。金次郎の祖父は大地主でしたが、金次郎の父がお人よしだったために父の時代で財産を失い、そのうえ金次郎が4歳のときに大洪水がおこり、家は、すっかり貧しくなってしまいました。さらに13歳のときには、その父をも亡くしてしまいました。
金次郎は、父にかわって田畑をたがやしました。でもそれだけでは生活できず、朝は暗いうちから山でたきぎの柴を刈り、それを町 (今の小田原) へ背負っていって売りました。また、夜は夜でおそくまでわらじやなわを作って、これも生活の足しにしました。「りっぱな人間になって、二宮家を、もういちど祖父の時代のようにしてみせる」 と心に誓った金次郎は、「学問をしなければ、ただの農民に終わってしまう」 と自分に言い聞かせて、たきぎを背負って道を歩くときも、わらじやなわを作るときも、本を手ばなさなかったのです。
15歳のときには母も亡くなり、金次郎は伯父の家へあずけられました。そしてまるで下男のようにはたらかされました。しかしどんなに苦しくても、本を読むことだけは忘れませんでした。
二宮尊徳(1787〜1856)──苦しさに負けずに学問を続けて、貧しい農村をつぎつぎに立て直した努力の人。
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