● めずらしい虫の声を聞くと、何日も探し続けた虫きちがい
ファーブルは、家がたいへん貧しかったため、幼児のとき、両親と別れて祖父のもとへあずけられました。祖父の家は、村はずれの山の中です。友だちひとりいません。
でも、ファーブルは、すこしも、さみしくはありませんでした。森や牧場に、たくさんの昆虫がいます。昆虫と遊ぶのが楽しくてしかたがありません。めずらしい虫の声を聞くと、何日かかってもさがします。その熱心さには、祖父も祖母も 「あの子は、ほんとうに虫きちがいだよ」 と、あきれてしまったほどでした。
7歳になると、村へもどって小学校へあがりました。教室が一つしかない小さな学校です。それに、いつも、教室にブタやニワトリがまよいこんできます。だから、勉強はちっともすすみません。ファーブルは、あいかわらず、昆虫や動物と遊んでばかりでした。
10歳のとき、家族は町へ引っ越しました。父が、町でコーヒー店を開くことになったからです。ところが、父は、わずか4年で、この仕事に失敗してしまいました。そして、14歳のファーブルは、こんどはほんとうに両親と別れて、自分ひとりで生きていかなければならなくなり、鉄道工事の土はこびをしたり、遊園地でレモン売りをしたりして、お金をかせぎました。宿がないときは、公園のベンチで星空を見上げながら寝ました。苦しくて泣きたいときは、昆虫のことを考えました。
ファーブル(1823-1915)──生涯、やさしい心で昆虫を見つめつづけ、愛情あふれる「昆虫記」を書き残した世界の昆虫学者。
詳しくは、いずみ書房のホームページにあるオンラインブック「せかい伝記図書館」をご覧ください。
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