● ウソを見破る母の冷徹なまなざしに……
ガンジーが7歳のころのことです。ある日、はじめてイギリス人を見たガンジーは、インド西部の小さな国の総理大臣をしていた父にたずねました。「あの人たちは、インドへ来てなにをしているの?」
父は、はじめはインドと貿易をしようと思ってやってきたイギリス人が、もう300年もインドにいて、とうとう、インド全土を支配するようになったことや、イギリス人を追いはらうためにインドの軍隊がどんなに戦っても、イギリスの軍隊にはかなわなかったことなどを教えてくれました。
(イギリス人は、どうしてそんなに強いのだろう) ガンジーは考えつづけました。そして、ひとつのことを考えつきました。(イギリス人は、肉を食べるから強いのだ) このころのインド人は、動物は神のつくりたもうたものと信じて、肉を食べなかったのです。
ガンジーは、こっそり肉を食べはじめました。ところが、外で肉を食べた日は腹がすかず、家の夕食を食べる気がしません。そこで 「ぼく、気分が悪くて食べられません」 などと、うそを言いつづけました。でも、うそをついたとき、じっと自分を見つめる母の目が、どうしても気になってしかたがありませんでした。
「母にうそをつくのは、やはりいけないことだ」
ガンジーは、肉を食べるのをやめました。そして、やがてイギリスの大学へ入って法律を学び、インドの独立のために戦いつづける大いなる魂 (マハトマ) の男へと成長していきました。そのごは、いつも母の目を思いだして、生涯、肉を口にしなかったということです。
ガンジー(1869〜1948)──生涯を祖国独立のためにささげたインドの指導者。
詳しくは、いずみ書房のホームページにあるオンラインブック「せかい伝記図書館」をご覧ください。
http://www.izumishobo.co.jp/onlinebook/c02_denki/gandhi/index.html