● 自分に厳しい努力を重ね、ひとつひとつを成就
幼いときから、なによりも本が好きだった白石は、3歳のときには、もう字をおぼえ、6歳になると、むずかしい詩を暗記して、みんなをおどろかせました。
武士だった父のいいつけで、9歳のときから、文字の手習いを始めました。人から教わるのではありません。紙に、なんどもなんども書いて、1字1字、文字をおぼえていくのです。
白石は 「昼のあいだに3000字、夜は1000字だ」 と決心して、毎日、4000字ずつの手習いです。ところが、夜おそくなると、眠くなってしまいます。目がつぶれそうになって、文字がかすんできます。でも、4000字が終わるまでは、ぜったいにくじけず、眠くなったときは、どんなに寒い夜でも頭から水をかぶって、がんばりつづけました。
白石は、ものおぼえのよい少年でしたが、生まれつきの天才だったのではありません。
「苦しいことに負けてはだめだ。いちど決心したことは、けっしてくじけずに、さいごまでやりとおせ」。
父の、この教えを守り、人のなん倍も、なん十倍も努力をかさねて、ひとつ、ひとつ、ものごとをなしとげていったのです。
13歳になったころには、父のかわりに、あるときは父の仕える藩主のかわりに、たいせつな手紙を書くほどになりました。
新井白石(1657〜1725)──人一倍の努力に努力を重ねて学問をつづけ、将軍に仕えて正しい政治をすすめた江戸時代の学者。
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