たまには、子どもたちに身近な科学のおもしろさを、お話ししてあげましょう。「おもしろ科学質問箱 27」
身のまわりにあるすべてのもの、動物や植物などの生きもの、家などの建物、水や空気など、数千万種類という世の中のすべての物質は、ひとつ以上の元素が、小さな部品となって化合(化学的に組み合わされる)したり、まじりあったりしてできています。でも、これまでに知られている元素はわずか118種類で、自然界にあるのは90種類ほどといわれています。
元素は、ただ1種類の「原子」でできている物質で、「原子」は陽子と中性子でできた原子核と、そのまわりをまわる電子でできています。また、「陽子」(電子も同じ数)の数の違いで性格が異なるため、それぞれの元素には名前がつけられています。
地球上にある元素を多い順に並べると、酸素、ケイ素、アルミニウム、鉄、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、水素、チタン、塩素、マンガン、リン、炭素、硫黄(いおう)、窒素、フッ素というふうになります。よく名前を聞く、バリウム19番目、ニッケル24番目、銅25番目、タングステン26番目、スズ30番目、亜鉛31番目、鉛36番目、ヨウ素64番目、水銀65番目、キュリー夫妻によって発見されたラジウムは84番目になります。
以前に紹介した「空気」は、窒素が78%、酸素が21%で、残りの1%がアルゴン、ネオン、ヘリウム、クリプトン、キセノンなど貴(希)ガスといわれる元素と、二酸化炭素(炭素と酸素の化合物)や水蒸気(水素と酸素の化合物である水が気化したもの)が加わっています。
私たちの生活や産業の発展を支えているのも元素で、たとえば炭素は、重要なエネルギーである石炭や石油など化石燃料を作り出していますし、鉄はさまざまな器具や建物の土台などに使われています。イリジウムとかガリウムなど、最近話題になっているレアメタルは、電子部品としてパソコンやテレビ、携帯電話などに使われています。
19世紀のなかばすぎから、科学者たちは、発見された元素に「原子番号」をつけ、「周期表」というものを作るようになりました。原子番号というのは、その元素をつくっている原子が、「陽子」と「電子」をいくつもっているかを示す数で、水素は1つずつ持っているので、周期表の「1」番はじめにおかれています。2つもっているヘリウムは原子番号「2」、8つ持っている酸素は「8」となります。
古くから知られた元素は、金「79」、銀「47」、銅「29」、鉄「26」、炭素「6」、イオウ「16」などで、近代になって発見された元素には、メンデレビウム「101」(メンデレーエフ=周期表の原型を創った人)、アインスタイニウム「99」(相対性原理を発見したアインシュタイン)、フランシウム「87」(発見としたフランス人科学者)など、人の名や、国の名にちなんだ名前がつけられています。
2004年に、日本の理化学研究所が発見した元素ウンウントリウム「113」は、まだ仮の名で、近く日本にふさわしい名がつくだろうといわれています。
「9月4日にあった主なできごと」
1943年 猛獣薬殺命令…太平洋戦争中、上野動物園の猛獣が空襲で檻から逃げ出すのを防ぐため、27頭の猛獣すべてを薬殺する命令が下され、この日慰霊祭が行われました。
1965年 シュバイツァー死去…アフリカの赤道直下の国ガボンのランバレネにおいて、生涯を原住民への医療などに捧げたドイツの神学者・医師のシュバイツァーが亡くなりました。
1994年 関西国際空港開港…大阪・泉州沖の人工島に、関西国際空港が開港しました。世界初となる本格的な海上空港で、わが国初の24時間運用空港となりました。