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磁石ってなーに ?

たまには、子どもたちに身近な科学のおもしろさを、お話ししてあげましょう。「おもしろ科学質問箱 34」

磁石とは、鉄を引きつる性質を持つ物質のことで、両はしにN極とS極を持ち、N極とN極あるいはS極とS極のように同じ極同士を近づけると反発し、N極とS極を近づけると引合う性質を持っています。S極だけ、あるいはN極だけの磁石はなく、磁石を2つに切っても、4つに切っても、同じ数の磁石になります。

古代ギリシアでは、鉄を引き寄せる石として磁石はすでに知られていました。古い伝説によりますと、マグネスという羊飼いが、持っていた鉄のつえと、はきものの鉄のくぎが、そばにあった黒い石にくっついて動けなくなったことから、磁石が発見されたこと。また、このふしぎな石が小アジアのマグネシアの町でも発見されたことから、「羊飼いのマグネス」「マグネシアの石」が、ヨーロッパのさまざまな言語で磁石をさす言葉「マグネット」の語源になったといわれています。

磁石というものの正体は、まだ完全には解明されていません。有力な説は、「鉄片をつくっている無数の分子は、それぞれが小さな磁石(分子磁石)で、ふつうはこれらが、勝手な方向をむいている。そのため、磁石の性質は、おたがいに打ち消しあって、本来の性質があらわれない。ところが、強い磁気をもつ磁石にふれると、鉄片の分子磁石は、そろって同じ方向を向くために、磁石にくっつく」という理論です。磁石をまっかになるほど熱すると、磁気がなくなってただの鉄になるのは、温度が高くなると分子磁石が混乱して、勝手な方向を向いてしまうためであること。かたい鋼鉄の中では、分子がぎっしりつまっているために、動きにくいために、ふつうの鉄より磁化しにくく、いちど磁化された鋼鉄は、磁気を失いにくいこと。そんな事実も、この理論を裏づけています。

実は、この世にあるすべてのものは、どれも小さな磁石でできていますが、みんなN極とS極がバラバラな方向を向いているので全体としては磁石になりません。いっぽう鉄は、磁石を近づけると、とても小さな磁石が全部同じ方向に向きやすい性質を持っているので、磁石にくっつきやすくなるのだそうです。分子が磁石になる元素は、鉄以外にニッケルやコバルトがありますが、磁化しても弱い磁石にしかなりません。

磁石に対し、近代的な科学の光をあてたのは、エリザベス女王の侍医であったギルバートです。みずから球形の磁石をこしらえ、羅針盤がつねに北をさすのも、「地球そのものが大きな磁石である」ことを証明して見せました。その実験と論証による方法論は、その後の科学に大きな影響を与えました。

今では、工場などで、原料を熱してドロドロにとかしたりまぜたりして、さまざまな磁石が作られています。強い磁力を与えながら冷やしたり、焼きかためたりすれば、原料の中のとても小さな磁石が同じ方向を向いたままになります。さらに、コイルの中に原料を置き、コイルに強い電流を流して磁力を与えたりしながら磁石をこしらえ、さまざまな用途に使用されています。主な磁石の種類、原料、作り方は、次のようなものです。

フェライト磁石…主な原料は酸化鉄で、茶わんなどと同じように原料を焼き固めて作ります。
サマコバ磁石…主な原料はコバルト・サマリウム・鉄で、原料をとかしてまぜあわせてから焼き固めます。*サマリウムは希土類元素の一つ
ラバー磁石…主な原料はゴム・フェライト磁石の粉で、ゴムの中にフェライト磁石の粉をまぜて固めます。


「11月29日にあった主なできごと」

1529年 王陽明死去…儒教の流れをくむ「朱子学」に対し、日常生活の中での実践を通して人の生きるべき道をもとめる「陽明学」という学問の大きな流れを作った王陽明が亡くなりました。

1875年 同志社創立…新島襄らが京都に、キリスト教精神に基づく「良心」を建学精神に掲げ、漢学以外はすべて英語で教育するという「同志社英学校」(現・同志社大学)を創設しました。

1987年 大韓航空機爆破事件…イランのバクダッドから韓国のソウルに向かう航空機が、ミャンマー沖で爆破され、乗員・乗客115人が死亡・行方不明になりました。北朝鮮の工作員金賢姫(キムヒョンヒ)らが実行犯と判明しましたが、北朝鮮は関与を否定しているため、真相は不明のままです。

投稿日:2013年11月29日(金) 05:53

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)