たまには、子どもたちに身近な科学のおもしろさを、お話ししてあげましょう。「おもしろ科学質問箱 24」
ご飯や牛乳は白、トマトは赤、カレーは黄色など、食べたり飲んだりしたものはいろいろな色をしているのに、ウンチとして出てくるときは、いつも同じように茶色なのはどうしてなのでしょう。子どもたちが不思議に思うことのひとつです。
私たちが生きていけるのは、口から食べものや飲みものをとりこんでいるからです。でも、それだけでは十分ではありません。そんな飲食物を、身体が利用できるようにするのが「消化」の役割です。
消化とは、飲食物を作っている大きい分子を、身体の中にとりこめるような小さい分子に変えることで、デンプンはショ糖に、脂肪はグリセリンに、タンパク質はアミノ酸にかえる仕事です。
口から食道を通って胃に入った食べものは、胃からだされるペプシンという消化酵素を含む胃液の働きでドロドロの液体にされますが、消化の大半はここで終えます。ドロドロになった液体は、胃の下にある幽門という弁を通って、4〜5mもある長い管である小腸へ移します。小腸のはじめの部分は十二指腸といわれています。小腸では、腸液や膵(すい)液、胆のうから出てくる「胆汁」などの消化液で、食べものをさらにドロドロにします。やがて小腸の壁から血液やリンパ液へ吸収されて、身体に必要なエネルギーの源になります。
小腸の中で栄養分を吸収されたあとの残りかすは、長さ約1mの大腸へおくられ、ここで水分が吸収され、残りかすはかたまって、おしりの穴である肛門から、ウンチとして排出されるのです。
さて、そのウンチが茶色い理由ですが、これには肝臓から出される「胆汁」と深いつながりがあります。血液が赤いのは、赤血球という赤いつぶつぶがたんさんあるためですが、赤血球には寿命があって、死んでしまった赤血球は血液とともに肝臓に運ばれ、胆汁といっしょに小腸の中にすてられます。この胆汁のビリルビンという色素の一部は「ウロビリン」となり、これが黄色をしています。食べものの残りかすの半分以上は、腸の中に住んでいた細菌とはがれおちた腸の膜で、これらと「ウロビリン」がまじって、ウンチが茶色っぽくなるというわけです。
食べものの入り口である口から、出口の肛門までおよそ9mもあります。食べものにとっては、24〜72時間、長い長い「消化」の旅です。なお、あのくさいにおいは、腸の中に住んでいる細菌が食べものを分解するときのガス(イオウ化合物)が原因で、おならがくさいのもそのためです。
「7月30日にあった主なできごと」
1502年 宗祇死去…室町時代の連歌師で、和歌の西行、俳句の松尾芭蕉とともに漂泊の人といわれる宗祇が亡くなりました。
1863年 フォード誕生…流れ作業による自動車の大量生産に成功し「世界の自動車王」といわれる実業家フォードが生まれました。
1898年 ビスマルク死去…プロイセン王の右腕として鉄血政策を推進し、1871年ドイツ統一の立役者となったビスマルクが亡くなりました。
1911年 明治天皇死去…王政復古をなしとげ、近代国家の形を整えた明治天皇が亡くなり、大正天皇が即位しました。
1947年 幸田露伴死去…『五重塔』などを著し、尾崎紅葉とともに「紅露時代」と呼ばれる時代を築いた作家幸田露伴が亡くなりました。
1965年 谷崎潤一郎死去……『細雪』『春琴抄』『痴人の愛』などの小説や『源氏物語』現代語訳を著した作家の谷崎潤一郎が亡くなりました。