「読み聞かせ」のすすめ 19
ボランティアで「読み聞かせのすすめ」を実践している方のお話です。
ある日、散歩の途中、10歳くらいの少女を連れた母親にあいさつされました。はじめは、その母親のことを思い出せなかったのですが、「7年ほど前、この子が4歳のとき、絵本の読み聞かせをすすめられて・・・」といわれて、この母親に読み聞かせをすすめ、その後何回か「うちの子は同じ本を何度も何度も読んでくれという」「読み聞かせの本は図書館で借りてきているが、何度も読んでくれという本だけは、後で買ってやるようにしている」などの連絡をもらったことを思いだしました。
あのとき、4歳だった小さな女の子が、もう小学4年生になっていたのです。私が「何度も読んでもらうほど気に入って買ってもらった本は、何冊くらいになったの?」と尋ねると、その少女ははっきりと答えてくれました。
「3年生くらいまでお母さんに読んでもらって、そのあいだに買ってもらった本は60冊ほど。読んでもらった本は500冊以上ですから、買ってもらったのは8冊に1冊くらいなのかな。今は、私の一番の宝物です。そして今も、他の新しい本を読むあいだに、ときどき引っぱりだして読んでます。読まなくても、本棚に並べた本のストーリーを思い出して、そのときは楽しくて時間を忘れそう。ときには、お母さんに甘えてもう一度読んでもらうこともあります。お母さんもときどき一人で読んでるみたいです」──と。
こんな話を聞くと、なんとなく心が暖まりますね。ひとりでも多くの子どもが、このように育ってほしいと願わずにはおれません。