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たとえ1歳からでも早すぎない

「読み聞かせ」のすすめ 22

二人の子どもをもつ主婦の話です。

「小学校へあがる前に、少しでも心を豊かに──と考えて、4歳半になる長男への読み聞かせを始めました。でも、どんな本を選んだらよいかわからないので、自転車で10分くらいのところにある市の図書館の分館へ行きました。司書の方の助けを借りながら、館外貸し出しの本を10冊ほど借り出し、それを家へ持ち帰って、1冊ずつ読み聞かせることにしました。

ところが、これを2、3回くりかえしているうちに、思わぬ発見をしました。読み聞かせをしようとした長男より、その下の2歳になったばかりの女の子のほうが絵本に興味を示しだしたのです。長男へ読み聞かせていると、私の膝の上へやってきて、耳を傾け、読み終わると、長男はすぐ他のものへ興味を向けるのに、女の子はもう一度読んで、もう一度……といいます。

こうして半年ほどたった今は、長男よりも2歳の女の子のほうが主役になってしまいました。今になって悔やまれるのは、長男への読み聞かせを、やはり2歳くらいから始めればよかったということです」

この主婦の話はまったくその通りで、絵本の読み聞かせを、2歳以前、1歳や1歳未満から実践して、成功されている方をたくさん知っています。たとえ言葉はわからなくても、絵本の絵を楽しませながら、ゆっくりゆっくりくりかえしていくと、幼児の心が豊かに広がっていくことは間違いありません。

イギリスの名門児童出版社レディバード社で刊行するシリーズ「レディバード図書館」(日本語訳・いずみ書房刊) の別巻1「お母さんとお父さんの育児しつけ教室(2歳まで)」によりますと、絵本に親しませたいのは12か月ころとして、次のような記述がされています。

「本を見せるのは、5、6か月からはじめたいものです。早いと思われるかもしれませんが、けっして早すぎることはありません。ぴったり合った絵本なら、声をあげ、手をたたいて喜びを表現することもあります。普段から絵本に親しませている赤ちゃんですと、12か月の頃になると、手にとってめくろうとすることでしょう。人物、動物、おもちゃなど、はっきりと単純に描いた絵本が理想的です。また、初めて出合う絵本は、大きすぎたり重すぎたりするものは感心しません。赤ちゃんには、赤ちゃんの身体に合ったサイズの洋服をそろえるのと同じように、赤ちゃんの手の大きさ、握力、視野などを考慮して本を選ぶことをおすすめします。赤ちゃんは、お母さんの読んでくれる物語の主役になり、鳥になって大空を舞うこともあれば、いたずらねこに変身することもあります。実際に体験できない未知の世界を、絵本を通して体験するのです・・・・・・」と。

赤ちゃんが、絵本の中にたくさんの友だちを持ち、心がのびのびとふくらんでいく──なんともワクワクする話ではないでしょうか。

なお、「レディバード図書館」の内容につきましては、ブログ を参照ください。 

投稿日:2009年03月19日(木) 09:12

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)