「読み聞かせ」のすすめ 6
親と子が心を解け合わせていっしょの時間を過ごす「読み聞かせ」は、とても楽しいものです。ところが、親のちょっとした語りかけが、その楽しさを壊してしまうことを知っておかなくてはなりません。
それは、読み聞かせが終わったあとの「どんなところがおもしろかった?」「どんなことを感じた?」という問いつめです。これだけならまだしも、この問いに対して返ってきた子どもの感想が親の期待から外れていたときの「そんなことしか理解できなかったの」「何を聞いていたの」。ここまで追いつめたら、せっかくの時間もだいなし。形式的な感想など、どうでもよいことです。大切なのは、読み聞かせが終わったあとまで子どもの心に残る「楽しかったことの余韻」にあるといってよいでしょう。
添い寝をしてもらいながら母親の話を聞いているうちに、いつのまにか眠ってしまう子ども──これもまったく同じです。その余韻が親と子のつながりを深め、本が好きではない子どもでも、本を読み聞かせてもらうひとときの楽しさを通して、本が好きになっていくのです。
同じ1冊の本を読んでも感想は一人ひとり異なり、その一人ひとり異なる感想をこそ大切にしなければならないことを忘れてはなりません。