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子どもに本を買わせてみる

「読み聞かせ」のすすめ 21

ある書店でのことです。子どもの本の棚の前に、ひと組の母子がいました。子どもは3、4歳の女の子、母親は30歳くらいです。その母子を観察していると、おもしろいことがわかってきました。

子どもが、棚の前に平積みしてある絵本をひとつ一つ見ていきます。ある本は表紙を見ただけで手を離し、ある本はページをめくってじっと見ていきます。母親は子どもの後ろに立って、その子が本を少し乱暴に置いたときだけ「あら、きちんと置きましょ」という時以外、「早くしなさい」「それより、こっちの方が」などと余計な口をはさみません。およそ、15分、思わず、その母親に声をかけてみると、こんなことを語ってくれました。

「平均すると、ひと月に4、5回子どもを書店に連れてきます。その日は子どもが主役で、他の買物はしません。本は子どもに選ばせます。子どもはまだ字が読めないから、本の内容がわかるはずはありませんが、絵を見ながら物語の中身を想像するのでしょう。どんなに長くても、20分くらいで結論をだします。こうして買いたい本が決まれば、子どもにお金を渡し、自分で支払いをさせます。こうして、その本どんなお話かなぁ、などと語りあいながら家へもどり、すぐ読み聞かせに入ります。すると、その本のことで頭がいっぱいになっている子どもは、息を殺すように聞いてくれます」

とても印象的な話がうかがえました。こういうやりかたも、時には実践したいものです。

投稿日:2009年03月06日(金) 10:30

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)