「読み聞かせ」のすすめ 15
これは、ある3歳児の母親の話です。
私は、子どもが3歳になったときから、絵本の読み聞かせを始めました。毎日なんて気負ってもできそうにありませんでしたから、1週間に1回です。1か月に4冊だとすれば1年間に50冊、この子が小学校にあがるまでには200冊くらい読み聞かせてあげることができると考えたのです。
読み聞かせる本は、図書館から借りることにしました。中小企業に勤める夫の収入では、とても2〜3千円の絵本代をひねりだすのはむずかしいと思ったからです。ところが、読み聞かせを始めて4か月たったころから、月に2冊ずつくらいは、書店で買い求めるようになりました。それも、すでに一度は読み聞かせた絵本を……。
10冊くらい読み聞かせたころから、子どもが「あの本、もういっぺん読んで」というようになり、その本を再び借りてきて読み聞かせるうちに「すばらしい本は子どもに何度でも感銘を与えるものだ。それなら、そんな本はいつも子どものそばにあるようにしてやろう」と考えるようになったのです。
こうして、居間にある、夫の手づくり書架の中には、「おおきなかぶ」「ぐりとぐら」「ねずみくんのチョッキ」「からすのパンやさん」「かさじぞう」「かたあしだちょうのエルフ」など、およそ40冊の絵本が並んでいます。
──思い出のいっぱいつまった書架は、きっと家族の宝物となることでしょう。