「読み聞かせ」のすすめ 14
ある小学校の先生が、次のような話をしてくれました。
担任のクラスの子どもは3年生38人、このうち、自分からすすんで童話や物語の本を読む子は、半数に満たない17人。残り21人は、学校での「読書の時間」には本を読んでも、ふだん、自分から読むことはほとんどしない。ひと言でいえば、本を読む子よりも読まない子のほうが多く、この傾向は、年ごとに進む。
そこである日、読書についての実態を調べるついでに、38人に手をあげさせて、小学校へあがる前に、親から本の読み聞かせをしてもらった子がどれくらいいるかを調べてみた。すると、一つのことがはっきりした。本を読む17人のうち、読み聞かせの経験をもつ子が8人。本を読まない21人のうち、読み聞かせの経験をもつ子は1人。つまり、就学前に、親から読み聞かせをしてもらった子どもは、そのほとんどが「自分から本を読む」ようになっているということ。
3年生、4年生になって、本のきらいな子を本好きにするのは、とても大変だ。教師が努力をしても、本嫌いの10人のうち1人か2人しか本好きにすることはできない。だから、幼児期の「母親の読み聞かせ」をもっと盛んにやってほしい。本を読む子と読まない子は、教科の点数には差はなくても、「心のあり方」には、思いがけないほどの差がでてくる──。
幼児期の「読み聞かせ」には、それほどの価値と意味があるのです。