おもしろ「言葉」のおこり 5
● 足をあらう
悪事から抜けだすこと、心機一転出なおすときに使いますが、インドの僧の行いから出た言葉だそうです。一日中はだしで托鉢をしてまわった僧が、寺へ帰って、よごれた足を洗い清めるのがその日の日課の終わりでした。そんな、宗教上の行為が、汚れを落として出直すという意味に変わっていったと考えられています。
● 水いらず
他人を交えず、内輪の親しい者ばかりで──という意味に使いますが、水はきれいなはずなのに、どうして、じゃまなものを意味するのでしょうか。これは油に対しての水のことで、「親しき者の中に疎(うと)き者の交わるを、油に水の入りたる如し」といわれてきたように、油を親しい者同士にたとえ、水はどんなに頑張っても混ざらない異物で、じゃまものというわけです。
● さばをよむ
数をいいかげんにごまかすことをいいますが、もともとは、魚市場で「ひとや、ふたや」などと早く数えて箱に入れ、あとで数えてみると必ず数が違っていたことから起こったといわれる言葉です。江戸時代には、魚市場や魚商人のことを、五十集(いさば)と呼んだことから、間違いの多い魚の数えかたを「いさば読み」(略してサバ読み)といったという説もあります。