おもしろ言葉のおこり 1
普段なにげなく使っている言葉には、おもしろい起源のあるものが少なくありません。そんな興味深い言葉のいくつかをさぐりながら、紹介するコーナーをこしらえてみました。
● 油を売る
仕事をサボることを「油を売る」といいます。ところが、もともとはサボるどころか、油売りのマジメな仕事ぶりからきています。行燈(あんどん)を使っていた時代、油売りは、升(ます)で量って油を売ってまわりましたが、油は水のようには流れ落ちないので、升を早く片づけると油がまだ升に残ってしまいます。そこで油売りは、客と話をしながら、升から油が流れ落ちてしまうのを、ゆっくり待ちました。そのようすが仕事をなまけているように見えたことから、「油を売る」=サボるの意味に使われるようになったようです。
● ねこばば
悪いことを隠して知らんぷりをすること、特に落しものを拾ってそのまま自分のものにすることをいいますが、この「ばば」は「糞」のことなので、漢字では「猫糞」と書きます。幼児語で大便など「きたない」ものを「糞」といい、ネコは脱糞後、自分の足で土砂をかけることから、悪行を隠して知らん顔をする意が生まれました。でも、ネコ好きなある老婆が、借金の返済をしなかったからという「猫婆」説もあるようです。