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「気の毒」「手塩にかける」「きざ」「くしゃみ」

おもしろ「言葉」のおこり 10

● 気の毒

もともとは、自分の心や気分にとって毒になること、気がもめたり気がかりになったりして腹立たしく思うこと、自分に苦痛があること──などを「気の毒」といったようです。このように、自分自身への言葉だったのが、たとえ他人の苦痛でも自分の心を痛めるということで、いつのまにか、他人への同情をあらわすものになりました。

● 手塩にかける

室町時代の頃から、膳の不浄を清めるとともに、各自の好みで料理の味かげんをするために、食膳に少量の塩が盛られるようになりました。つまり、自分の手で塩加減をしたわけですが、これがもとになって手にかけて世話をすることを「手塩にかけて」というようになりました。

● きざ

言葉、服装、態度などが気どっていて反発をかんじさせるときに「きざなヤツ」などといいますが、もともとは「気障り(きざわり)」からおこった言葉です。きにかかるということが、不快を感じさせるいやみなことへと変わってきたのです。

● くしゃみ

むかし、くしゃみをすると早死にするという言い伝えがあり、くしゃみをしたときは、「糞くらえ」などとまじないの言葉をとなえると、早死にが防げるといわれてきました。このクソクラエが、クサハメ(ハメは、食えの意)に、クソハメがクサメになり、このクサメがなまって、クシャミとなったようです。

このように言葉というのは、長い間に、少しずつ変わっていくものですね。短期間に変わってきたのを実感するのは「こだわる」という言葉です。些細なことにとらわれるといった、あまり良くない意味に使われていました。それが、最近では些細な点にまで気を配る──思い入れがあるというように、良い意味に変わってきています。それをみんなが使いだすと、辞書にも記されるようになったばかりか、そのうち「以前は、些細なことにとらわれすぎる」という意味に使われていた、などと注釈が出たりするのかもしれません。

投稿日:2009年07月09日(木) 09:48

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)