「読み聞かせ」のすすめ 16
知人から、おもしろい「読み聞かせ」の話を聞きました。
砂場・スベリ台・木馬などがある団地内の遊び場は、午後3時ごろになると、幼児と母親でいっぱいになります。子どもたちを見守りながら、母親たちは井戸端会議ならぬ「砂場端会議」です。
「あんなふうにして過ごしてしまうのは、もったいない」と感じたのでしょう。ひとりのお母さんが、砂場へ絵本を2冊持って行き、子どもをしばらく砂場で遊ばせた後で「ねぇ、みんな、おもしろい絵本を読んであげようか」と、子どもたちに声をかけました。すると、5、6人の幼児たちが「わぁ、読んで、読んで」と集まってきました。「本なんか見向きもしない」と思っていたのに、うれしい誤算だったようです。
こうして、1回15分ずつくらいの「砂場読み聞かせ」が始まりました。喜んだのは子どもたちだけではありません。「うちの子が絵本をあんなに喜ぶとは思わなかった」と、大いに喜んだのは、むしろ若いお母さんたちでした。
やがて、この読み聞かせは、外の強い日差しなどをさけるために、アパートの上がり口の石段に場所を移しました。階段に、ひな壇みたいに子どもを腰かけさせ、お母さんは一番下から読み聞かせるのです。週に平均2回ずつ始めて、もう半年。今では7人のお母さんの楽しみにもなっています──と。
読み聞かせは、本と時間があれば、どこでもできるのです。要は、親の心構えです。