児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ Top >  心の子育て論 >  子どもの心に読書に親しむ素地を育てる

子どもの心に読書に親しむ素地を育てる

「読み聞かせ」 のすすめ 8

6年生の長男に、10年以上も本を読んでやってきた結果、児童文学のファンになったのは私だけ。子どもはマンガばかりに夢中で、本はほとんど読みません。それでもいつかはと、期待して読み聞かせをしてきたのですが、その期待も実らないまま、親離れしていく時期になったのです。寝る前の読み聞かせは、子どもにとって、それが眠り薬のようなものだとしても、親子の安らぎの時でした。それで充分じゃないかと言い聞かせているのですが……。

これは、ある新聞に投稿されていた主婦の声ですが、この一文からいろいろなことを考えさせられます。まず、子どもが自分で本を読むようにならなかったからといって、それほど嘆く必要はないということです。長い間の読み聞かせで、子どもの内面には、少なくとも文学的な読み物を受け入れる素地は育っているはずです。今後なにか刺激さえあれば、必ず自分で本を手にするようになります。

もしも、その素地さえ育たなかったのだとすれば、読み聞かせた本の質に問題があったのかも知れません。親の選んだ児童文学作品と子どもがほんとうに喜ぶ作品には、必ず差があるからです。

それから、マンガばかりに夢中でとありますが、あまりマンガをばかにするのもよくありません。最近のマンガには、かなりレベルの高い作品も多く、歴史もののマンガなどには、文字で記述されている以上によく検証したものもあって、感心することさえあります。育てられた読書の素地のおかげで、新しい楽しみを発見したのかもしれません。

いずれにせよ、10年以上も続けられた「親子の安らぎの時」、素晴らしいではありませんか。母親のぬくみを充分注ぐことができたのですから。子どもは生涯それを忘れることはないでしょう。

投稿日:2008年10月24日(金) 09:17

 <  前の記事 リベラルな元老政治家・西園寺公望  |  トップページ  |  次の記事 「つじつまが合わない」 「けりをつける」  > 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://mt.izumishobo.co.jp/mt-tb.cgi/1498

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

         

2014年08月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

月別アーカイブ

 

Mobile

児童英語・図書出版社 社長のこだわりプログmobile ver. http://mt.izumishobo.co.jp/plugins/Mobile/mtm.cgi?b=6

プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)