「読み聞かせ」のすすめ 5
母から子への読み聞かせ──心さえこもっていれば、じょうず、へたを気にすることはありません。10回も続けるうちに、その人なりの、その人らしい読み聞かせの型ができてくるものです。
でも、ひとつだけ大切にしたいことがあります。それは間(ま)です。正確にゆっくり読み進めながら、じゅうぶんに間をとっていくことです。ひとつの文がマルで終わったあとの間、それは話に聞き入る子どもの心を落ち着かせます。物語が事件に入るときの間、話が山場にさしかかったときの間、それは、次はどうなるのだろうという話の展開に期待する子どもの心の高まりを、さらに高めます。
つまり、間は、子どもの集中力を高め、子どもを物語の中へより深く引きこむのに欠かせません。
話の中の「すると…」「ところが・・・」などのところでは、わざと5秒くらいの間をおいて、子どもの目をじっとみつめます。この時の母親と子どもの心の通いあいの深さ、確かさ…、それはまちがいなく一つになっています。
また、この間は、読み手にとってもたいせつです。間をとることによって心を落ち着かせ、間をとってるあいだに、子どもの反応、子どもの心の高まりを確かめ、味わい深く読み進めることができるからです。