たまには子どもと添い寝をしながら、こんなお話を聞かせてあげましょう。 [おもしろ民話集 55]
今年の干支(えと)は牛なので、年賀状には、いろいろな牛が描かれていますね。去年の干支は、ねずみでした。そして、来年は虎です。では、どうして、こんな順番になったのでしょう。
むかし、ある国の王様が動物たちを集めてパーティを開くことにしました。動物たちは、この日がくるのを楽しみにしていました。ところが、ねこは、パーティの日を忘れてしまって、ねずみに聞きにいきました。するとねずみはわざと、パーティの翌日を教えたのです。
さて、パーティの日がきました。動物たちは、先をあらそって出かけました。1番はじめに牛がやってきました。牛は足が遅いので、おくれないようにと、まだ暗い夜中に出発したのです。2番目に、虎がのっしのっしと歩いてきました。
ねずみは、大きな動物たちの間をチョロチョロ歩いていましたが、牛や虎の前に出ることができません。ねずみは、とても良いことを思いつきました。牛の背中に飛びのったのです。そして、牛が門に着くとぴょんと飛びおりて、一番最初に王様のところへごきげんうかがいをしました。
次に牛、3番目に虎が着きました。それから、うさぎ、たつ、へび、馬、ひつじが着きました。本当は、[犬猿の仲] といわれる猿と犬が早く来ていたのですが、門前で、けんかをしていて、にわとりがその仲裁をしていました。そのため、ひつじの次が猿、にわとり、犬の順番になりました。いのししも早かったのですが、[猪突猛進]、王様の門の前を通り越して走っていってしまったために、最後になってしまいました。こうしてみんなは、着いた順番に、王様へごきげんうかがいをしました。
王様は、とても喜んで、おいしいごちそうをみんなにふるまいました。それから「お前たちを、毎年、その年の干支ということにしよう。12匹いるから、12支(じゅうにし)と名づけることにする」といいました。
さて、次の日、ねこはパーティの日だと、喜びいさんで王様のところへ行きました。王様は、「今ごろ何をしにきた。お前などに用はない」と、ねこを追い返してしまいました。もちろん、干支にも入れませんでした。今も、ねこが干支の中にいないのは、こういう理由です。
それからというもの、ねこはねずみをうらんで、追いまわすようになったそうです。