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子どもと遊び楽しむ気持ちで

「読み聞かせ」のすすめ 3

母親から子どもへの「読み聞かせ」──これにいちばん大切なことは、読み聞かせるときの母親の 「心」 です。母から子への読み聞かせには、心のふれあいに大きな意味があるのですから、その心が欠けた読み聞かせでは何にもなりません。

「お母さんは忙しいのよ、早く始めましょ」 「早くしないと読んであげないわよ」 では、だめです。初めから心がとぎれています。15分か20分を子どもといっしょに遊び楽しむ気持ちにならないと、心と心が通いあわないのです。

「さあ、お母さんと○○ちゃんの、一番楽しい時間のはじまり、はじまり〜」 といいながら、まず自分が本を持ってきて、にこにこしながら座るといった、そんなあたたかさがあると、きっと成功するはずです。そしてこのときばかりは、お母さんの心が澄んでいないと、読み聞かせている作品に自ら感動することはできません。感動のない読み聞かせでは、子どもに感動を与えるはずはなく、せっかくの読み聞かせも形だけに終わってしまいます。

母親と子どもが共通の時間を楽しみ、おまけに1冊の本から得たあたたかさや、悲しみや、怒りや、喜びや、そして感動を分け合う──これがすばらしいのですから、口だけ動かしているような読み聞かせでは意味がありません。

「読み聞かせを続けようと思っても、子どもがついてこない」 というお母さん、お母さんの心に、まだ何かが足りないのではないでしょうか。

投稿日:2008年09月19日(金) 10:45

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)