「読み聞かせ」 のすすめ 1
「読み聞かせ」 のすばらしさ、大切さが広く口にされるようになったのは、いまから40年近く前、昭和40年代後半のころからです。おとなが子どもに本を読む──ただ、これだけのことですが、では、なぜその頃から、その実践が全国にひろまったのでしょうか。
その理由は、生活の中にテレビとマンガがどんどん入っていって、子どもたちがそれにおぼれはじめていたからです。このままでは、みずみずしさをたたえていかなくてはならない子どもの心の泉が枯れてしまう、たくさんの子どもたちが人間にとってもっとも大切な 「自分の頭で自由に、創造的に考えることを忘れてしまう」。こんなことを心から心配した人々が、なんとかそれを食いとめてやらなければならない、それにはやはり読書がいい。でも、子どもたちに本を読め読めというだけでは、なかなか読まない。それなら、おとなが読み聞かせて、子どもたちに本のなかの豊かなものを伝えよう、本のなかの楽しさを味あわせよう。そして、本を読む人間を一人でも多く育てよう──と考えたわけです。
子どもたち一人ひとりが、ほんとうに子どもらしい子どもに、人間らしい人間に育っていってほしい。「読み聞かせ」 には、こんな願いがこめられています。