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「泣いてもいいよ」 といった母親

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 78

ある駅で見かけた30代半ばと思われる母親と、5〜6歳の男の子と3歳くらいの女の子。この3人の母子が電車に、ホームにはおばあちゃん。おそらく、おばあちゃんの家へ遊びに行っていた母子が、おばあちゃんに送られて家へ帰るところです。電車に乗りこむ前からシクシク泣いていた男の子が、やがて電車が走り出すと、さらに激しくなきだしました。おばあちゃんとの別れが悲しくてたまらなかったのでしょう。

女の子に 「お兄ちゃん、男の子のくせに、泣くのおかしいわよ」 といわれても、声を殺すように泣き続ける男の子。すると、母親がいいました。「いいのよ、こんな時は泣いてもいいの。お兄ちゃんはやさしいから、泣きたくなったのよね。泣いてもいいわよ。お母さん、弱虫で泣くのは大きらい。でも、やさしくて泣くのはいいの。お母さんだって、おばあちゃんと別れるのは悲しくて、本当は泣きたいんだから。だって、おばあちゃん、また、ひとりぼっちでしょ。おばあちゃんのさみしい気持ちを思うと、たまらないわね」

これを聞いて、下の女の子も涙ぐみながら、じっと窓外を見つめたままでした。男の子が泣きやんだのはそれから10分もたってからでしょうか。こんな時、「いつまでも、めそめそ泣くんじゃありません」 と叱る多くの母親を見てきただけに、何となく暖かいものを感じたものでした。

投稿日:2008年05月07日(水) 08:31

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コメント (1)

ヘンリーおじさん:

いい話ですね!
こういうママがいること、嬉しくなります。
さぞかしお子さんたちも、頭の良い子どもに
育つことでしょう。

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)