私の好きな名画・気になる名画 15
イタリアの首都ローマの一角にある、カトリックの総本山バチカン市国。世界最大の教会サン・ピエトロ寺院のまわりには、たくさんの宮殿や礼拝堂があり、その最大のものがシスティナの礼拝堂です。幅13.3m、奥行40.5mで、1481年に完成しました。そして、当時の一流の芸術家が装飾を担当しましたが、この天井画を描いたのが、ミケランジェロです。13×36mという史上最大のこの絵は、1508年〜1512年、ミケランジェロが33歳の時、およそ5年間かけ、旧約聖書の「創世記」にある「天地創造」から、アダムとイブが「楽園追放」されるまでの物語を描いたものでした。苦心惨たんしながらほとんど独力で完成させたこの壮大な天井画については、後日、改めて記述したいと思っています。
「最後の審判」は、天井画を描いてから20年以上もたった1536年、時のローマ法王クレメンス7世から、同じ礼拝堂の正面の壁に絵を描くように依頼され、構想から6年以上の歳月をかけ、1541年、ミケランジェロ66歳の時に完成させた幅13.3m、高さ14.5mの大作です。
「最後の審判」というのは、この世の終わりにキリストが善悪の裁きをして、善人は天国へ、悪人は地獄へ落とすという信仰に基づくもので、過去にたくさんの芸術家が、これをテーマに絵や彫刻に作り上げてきました。ミケランジェロは、そんな先輩たちの作品を参考にしながらも、空間においても、雄大さにおいても、独自の構想や構図を作り上げ、登場人物400名以上という圧倒的な迫力で豪快に完成させました。
中央上方に、右手を高く上げる身ぶりで、罪人を地獄にふり落とすキリストを中心に、そのかたわらで、天上に昇る善人を見守る聖母マリア。二人のすぐ両側には、ヨハネ、聖ペトロ、聖バルトロマイら預言者や使徒たちを配し、キリストが顔をむけている向かって右側は、罰せられて地獄に落ちていく人々、左側は救われて天上に引き上げられていく人々なのがわかります。
ミケランジェロは、キリストをはじめ主要人物を全裸で描きました。ところが、教会の祭壇に全裸では困るという声があがり、後の法王パオロ4世は、ダニエレという画家に命じて、腰布など44か所を描かせました。そのためダニエレには、「ブラゲットーネ」(「ズホン絵かき)というあだ名がつけられそうです。
なお、今日3月6日は、ミケランジェロが1475年に誕生した日です。その生涯につきましては、いずみ書房のホームページにあるオンラインブック「せかい伝記図書館」をご覧ください。
コメント (1)
初めまして。来月初めてのイタリアへ旅。ネットで色々調べていて貴方のサイト見ました。事前の知識持参でより深いキリスト聖書、ミケランジェロの云わんとする意味も多少理解出来るかも。 有難う御座います。
Posted by: 伊福 幸恵 | 2009年08月16日 07:20
日時: : 2009年08月16日 07:20