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進化論のはじまり

「キリンの首やゾウの鼻は、どうして長いの ?」 おもしろ科学質問箱 11

ヨーロッパには、古くから自然界の成り立ちを詳しく調べる 「博物学」 という学問が発達していました。古代ギリシアのアリストテレスは哲学者として有名ですが、さまざまな生きものの形態や生態について、詳しい観察と記述をしたため、博物学の祖ともいわれています。

でも、ヨーロッパではキリスト教を信仰している人たちが多く、聖書に 「すべての生きものは、神様がこの世のはじまりの時、7日間のうちに作り上げた」 ことになっています。博物学も、キリスト教の枠の中で発達した学問なので、生きものは、それぞれ神様によって作られ、作られたときから何も変化していないと考えられてきました。

こうした考え方に疑問をなげかけ、いっさい変化しないのでなく、少しずつ変化してきたという進化の考え方をはっきり打ち出す人が現われました。フランスの博物学者ラマルク(1744-1829)で、自分の考えを1809年 「動物哲学」 という本に記述しました。

「たとえば、キリンの祖先は、首が短く、低い枝についている葉をたべていた。ところが、低いところの葉を食べつくしてしまったため、もっと高いところの葉を食べなくてはならない。そこで、一生懸命首を伸ばして食べていたところ、首が長くなった。ゾウの鼻が長いのも同じで、高い木の枝の果物などを鼻で取るうちに、だんだん伸びてきた」 というものです。この考えかたは、「用不用説」 といって、長い間これを支持する学者がたくさんいましたが、現在は間違いだとされています。

続いて、進化論に新しい学説をとなえたのが、イギリスの博物学者ダーウィン(1809-1882)です。1859年 「種の起源」 という書に記した 「自然淘汰説」 で、「キリンの首もゾウの鼻も、最初は長いものも短いものもあった。しかし、結果的には生存競争に勝ち残り、自然条件に適応できて生きのびてきたのが首の長いキリンや、鼻の長いゾウだった」 ということになります。

どのようにして、ダーウィンがこの説を打ち出すことになったかにつきましては、いずみ書房のホームページにあるオンラインブック「せかい伝記図書館」第10巻に収録している 「ダーウィン」 に詳しく記されていますので、ぜひご覧ください。

なお現在は、ダーウィン説が有力ではありますが、進化論をもう少し総合的に考える時代になってきています。ダーウィンの時代は遺伝のしくみが解明されていませんでしたし、自然淘汰以外の進化のメカニズムを説明する 「分子進化中立説」 など、たくさんのことがわかってきたからです。

投稿日:2008年03月13日(木) 09:46

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)