こうすれば子どもはしっかり育つ 「良い子の育てかた」 73
母親が小さな子どもをいましめる時に使う言葉の中には、「あんな叱り方をしなくてもよいのに」 と思われることが少なくありません。たとえば 「……のくせに」 という言い方も、そのひとつです。
「お姉ちゃんのくせに、だらしがないわね。もっとちゃんとしなくちゃ」 「お兄ちゃんのくせに、弟をいじめたりして、だめでしょ」 「男のくせに、めそめそするんじゃないの」
この 「……のくせに」 は、お姉ちゃんであること、お兄ちゃんであることを自覚させようという思いがこめられ、それなりの意味はあります。でも、この言葉の中には、明らかに “とがめる” というものを含んでいます。
そこで、この 「……のくせに」 の言い方を変えて、「……だから」 にしてみてはいかがでしょう。「お姉ちゃんだから、もう、きちんとできるわよね」 「お兄ちゃんだから、もっと、弟にやさしくしてあげられるわよね」 「もう大きいんだから、がんばれるわよ」
この 「……だから」 には、同じ自覚をさせるにしても、しかったり、とがめたりといったものがなく、むしろ、ほめる要素を含んでいます。したがって、結果的には、子どもに不快感を与えず、何となく気持ちよくさせながら、自覚へ結びつけていけるのではないでしょうか。