「どうして2月は、28日の年と29日の年があるの ?」 おもしろ科学質問箱 10
よく知られているように、2月29日のある年は閏年(うるうどし)といって、4年に1度あります。では、どうして閏年ができたのでしょう。
私たちがふだん使っているカレンダーは、太陽暦といって、太陽の動きをもとにして作られた暦です。地球が太陽のまわりを一回りする長さを1年とする考え方です。初めて1年の長さをかなり正確に計ったのは、6000年も昔の古代エジプト人でした。他の民族の人たちはたいてい、月の満ち欠けを基本に考える太陰暦をつかいましたが、季節にうまく合う便利な暦は、エジプトで考えられた太陽暦だといってよいでしょう。
1年を365日とするエジプトの暦では、1か月30日を12の月に分け、あまった5日を12月に入れて35日としたようです。でも、長い間この暦を使っているうちに日付と季節にずれがでてきました。このずれを清算したのが、古代ローマの皇帝ユリウス・シーザーでした。シーザーは、紀元前46年を445日とさせ、その後は4年に1度、366日にすることにしました。これは、シーザーの名をとってユリウス暦と呼ばれています。
ところが、年がたつにつれて、これでもまだ日付と季節がずれてしまいます。正確な1年は365.2422日であることがわかって、法王グレゴリウス13世は、1582年を10日間減らして355日とし、その後は各世紀の終わりの年は400で割れる年を除いて、閏年にしないことに決めました。つまり、1700年、1800年、1900年は閏年でなく、2000年は閏年となります。現在ほとんどの国で使われているこの暦は、グレゴリウスの名にちなんで、グレゴリオ暦とよばれています。
ところで、2月29日生まれの人は誕生日が4年に1度だから、歳をとらないと思われるかもしれません。でも、日本の法律では閏年ではない年は、2月28日に歳をとると決められています。
なお、日本では江戸時代まで太陰暦が使われていました。そのため、2月にも30日があり、芭蕉の弟子だった其角という俳人や、徳川家康から家光まで3代の将軍に仕えた大久保彦左衛門がなくなったのは、2月30日となっています。ちょっと面くらってしまいますね。