こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 72
以前、電車に乗っていた若い母親が次で降りるのに気づき、座席にあがって窓の外をみていたふたりの子どもを 「さあ、降りるのよ」 「早く靴をはきなさい」 「なにをぐずぐずしているの」 と叱りつけながら、子どもを引きずるようにして電車を降りていった話を、このブログに書いたことがあります。
ところが、先日、これとは全く逆の光景を目にして感銘しました。座席にあがって窓の外の風景を楽しんでいる3歳と5歳ぐらいの子ども。そして、社内の 「まもなく……」 というアナウンスで次の駅で降りることに気づいた母親。ここまでは、前の母親と同じです。ところが、その後のすばらしかったこと。
「今度降りるわよ、さあ、早く靴はいて」 といった母親が思い直し、次のように言ったのです。「ママがぼんやりしていて悪かったわ。あわてると危ないから、もうひとつ先の駅まで行って、戻ってきましょう。そうすれば、電車にもっとたくさん乗れるからうれしいでしょ。でも、少ししたら、靴をはいてね」
自分がぼんやりしていたのを棚にあげて、子どもたちを叱りつけた母親と、自分がぼんやりしていたことを子どもに詫びて、もうひとつ先の駅まで乗っていった母親。子どもへの対し方のあまりにも大きな違い、それが子どもたちの心へどのように影響を与えたかと思うと、母親の心のありようの大切さを痛感させられたという訳です。