こうすれば子どもはしっかり育つ 「良い子の育てかた」 70
ほとんど毎日のように顔を合わせる近くの家の子なのに、そして、こちらの顔は十分に知っているはずなのに、外で会った時、何の挨拶もしない。こちらが、わざと大きな声で 「おはよう」 「こんにちは」 といっても、仕方なしに小さな声でぶつぶつと、挨拶らしいことばをもらすだけで、はっきりこたえようとしない。
今、こんな子どもが多すぎます。しかし、そんな子どもでも、子どもを憎む気にはなれません。その子が悪いのではなく、人に気持ちのいい挨拶をさせないようにしてしまった親に大半の責任があるからです。
挨拶もできない子は限って、何かを聞くと、無言か「別に──」 という返事がかえってきます。「学校はおもしろい?」 「遠足は楽しかった?」 と声をかけても、ただ「別に──」 と一言。これは、なんと悲しいことでしょうか。
わが子に 「よその人に挨拶なんかしなくてもいいのよ」 なんて教えている親はいないはずです。ところが、“親のふり” に学んでいるうちに 「挨拶のできない子」 が育ち、それが人への気くばりや思いやりの心をもむしばんでいって、せっかくこちらがやさしい心でなにか声をかけても、それに応えようとはせず、ただ自分の気持ちだけで 「別に──」 となってしまうのでしょう。
挨拶のできないこと、挨拶をしないことが何をもたらすのか、考え直してみる必要があるようです。