こうすれば子どもはしっかり育つ 「良い子の育てかた」 69
子どもが 「ねえお母さん、いっしょに遊ぼうよ」 というと、「お母さんはいま忙しいの。一人で遊びなさい」 と答える。「ねえ、お母さん、本読んで」 と言うと 「後で」 と答えてしまう。「ねえお母さん、今日、学校でね……」 と話しかけようとすると、「なーに、忙しいから早くおっしゃい」 という。
このごろ、こんな母親が多くなっているといいます。母親が家庭以外のことで、なにかと忙しくなっているからかもしれません。しかし、その時はなんでもないようでも、母親のこの冷たい態度は、子どもの心の中に、おそろしいものを生み出していきます。
それは、母親への不信です。「お母さんは、きっと私のことをあんまり好きじゃないんだ」 「私は、お母さんから愛されていないんだ」 という思いが少しずつつのり、それが、母親のいいつけには忠実であっても、心のどこかで母親を拒否する子どもをつくりだしてしまうのです。
そのうえ、一番あたたかく結ばれていいはずの母親とさえうまくいかないことによって、他人ともうまくいかない子ども、他人を心から愛せない子ども、他人を心から信頼しない子どもをつくりだしてしまいます。
脅かすわけではありません。後になって、(この子は親に反発ばかりする。どうしてこんな子になったのだろう) と思ったときは、もう遅いのです。