こうすれば子どもはしっかり育つ 「良い子の育てかた」 68
家庭内における、親に対する子どもの暴力──このことについて、しつけの面から、しっかり認識しておかなければならないことがあります。それは、少年期になってからの親への暴力は、幼児期からのしつけの中で 「親みずからがみちびいてしまった」 ものが少なくないからです。
問題は、親の過保護です。わが子が要求するものは、子どもかわいさで何でも受け入れてしまう。その結果、子どもは、自分をおさえることを経験しないまま育っていく。そして、親が抑制や制約を与えないために、子どもは常に満たされた形で育ち、第一反抗期の反抗もないうちに過ぎてしまう。親は 「親に反抗しない素直な子だ」 と勘違いしたまま……。
ところが、要求、欲望が大きくなり始める第二反抗期 (思春期) になると、親ははじめてそれを抑制させなくてはならないことに気づき、おさえはじめる。すると、子どもは反発──自由にさせてくれない親への暴力──ということになってしまうのです。
最近、親の権威がなくなったといわれます。でも、これはなくなったというより、子どもを甘やかすことで、親自身が権威を捨ててきているといえないこともありません。[過度な欲望をできるだけ抑える]──これこそ、幼児期に最も大切なことではないでしょうか。