こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 66
ある団地で目撃した、あまり気分のよくないできごとです。
3、4歳くらいの男の子が、もう10分近くも泣き続けています。母親に帰ろうといわれても、その男の子は、砂場と木馬でもっと遊びたいらしく、母親の手をふりきって、まだ遊ぼうとします。
すると、母親が、いきなり強硬手段にでました。子どものえり首のところをつかむや、泣きさけぶ子を引きずりはじめました。それも、5メートルや10メートルではなく、30メートルも50メートルも。首をつられたかっこうになりながら、そして、ずるずると足を引きずられながら、ますます、泣きさけぶ子。子どもに見向きもせず、まるで、撃ち殺した獲物を引きずって帰るようにして、無言で歩いて行く母親。この光景を目にして、唖然としたのは私だけではなかったようです。
この母親はきっと、いつも叱るか、きびしくいいつけるか、命令するかで、子どものしつけをやりつづけているのでしょう。母親の方から子どもに寄りそっていくことも、母親の方から子どもの声に耳をかたむけることも、まして、子どもの主体性を尊重することもなく、母親である自分好みの子どもをつくりあげることに陥ってしまっているかのようです。
しつけの主体は、あくまでも子どもであることを、よく考えてほしいものです。