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自分が認められることの喜び

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 61

これは、ボランティアで子どもたちに「作文」を教えている先生から聞いた話です。

ある日、陽子ちゃんという1年生の女の子が、新しく作文教室に入ってきました。20人ほどの集団にぽつんとひとり加わったのですから、少し不安な様子でした。「今までに作文を書いたことある?」 「書き方わかる?」 などと聞いても、返事をしません。

そこで、作文教室に入ってすでに4か月になる五美ちゃんという2年生の女の子の横に座らせて、「五美ちゃん、陽子ちゃんに教えてあげてね。五美ちゃんなら、教えてあげられるでしょう」 と頼みました。

やがて、五美ちゃんは、自分の作文を書くのも忘れるようにして、陽子ちゃんに教えます。「どんなことを書いてもいいの。陽子ちゃんの思ったとおりに書いたらいいのよ。題は、ここのところ、名前は、ここに書くのよ」 と一所懸命でした。そして、1時間後、2人は作文を提出して仲よく帰って行きました。

次の日、五美ちゃんのお母さんから電話がきました。「五美は、1年生のお嬢さんに作文を教えてあげてねと言われたことが、とってもうれしかったらしくて、家に帰ってきて家族みんなに話していました。母親の私は、これまで“だめじゃないの”と叱ることは多くても、五美の心が気持ちよくなるような言葉をあまりかけていなかったことに気がつきました。五美は、もう今から次の作文教室の日が早くこないかなあと言っています」

五美ちゃんは、自分が認められたことがたまらなくうれしかったようです。その日 「お父さんのこと」 という題で書いた作文を見せてもらいました。「うちのお父さんは、お母さんにはいばっているのになきむしです。テレビを見ていても、すぐなきます……」 という、とても素直な内容でした。

投稿日:2007年12月05日(水) 09:50

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)